私の『二目ぼれ』

私の『二目ぼれ』

私が彼女に出会ったのは高校の同窓会でした。

高校の同窓会で出会ったということは、つまり再会であって、初めて出会ったのは高校のはずです。

『はずです』というあいまいな表現になってしまうのには訳があります。

端的に言ってしまうと、私は彼女を覚えていなかったのです。

後で仲の良かったクラスメイトに聞いたのですが、彼女はどうも地味で目立たない部類の生徒であったのに加え、病弱で学校を休みがちだったそうです。

高校生活を野球漬けで過ごした私は、失礼ながら、彼女を記憶していませんでした。

「久しぶりね」

彼女に話しかけられて私は動揺しました。

なにせ覚えていないのですから。

「うん、久しぶり。元気だった?」

私は何とも汎用性の高い返答でやり過ごそうとしました。

「……うん、まあ、ね」

彼女の切なげな笑顔は今でも忘れられません。

前述の通り病弱だった彼女は今でこそ、同窓会に来れるほど元気ですが出席日数が足りず高校卒業が危なかったり、大学に進学した後も入院のため休学したりと苦労したのだそうです。

なぜこんなに詳しく知っているか、気になりますか?

私はその笑顔に一目ぼれをしてしまったのです。

正確には『一目』ではありませんが、まあいうなれば『二目ぼれ』でしょうか。

友人達に仲を取り持ってもらい、必死でアタックしました。

その甲斐あって彼女は今、私の隣で笑っています。

今は切なげではなく、楽しそうに笑ってくれています。

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